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2022/10/14

国際卓越研究大学法施行規則等に関するパブリックコメントに意見を提出しました

日本私大教連中央執行委員会は10月13日、「国際卓越研究大学法施行規則を定める省令(案)」および「国際卓越研究大学法に基づく基本方針(素案)」について実施されていたパブリックコメントに、意見を提出しました。

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◆「国際卓越研究大学法施行規則を定める省令(案)」に対する意見

今回、パブリックコメントが実施されている、「国際卓越研究大学法施行規則を定める省令(案)」ならびに「国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化の推進に関する基本的な方針(素案)」によって、「国際卓越研究大学」制度が教育基本法、学校教育法が規定する大学の目的を大きく逸脱し、経済的価値の追求を学問研究の目的とすることを要求するものであり、学問の自由と大学の自治を脅かすとともに、経済的価値による学問分野の選別・序列化を招き、学術全体の発展を阻害しかねないことが明白になった。

したがって、「国際卓越研究大学」制度を実行するための施行規則を定めることそのものに反対する。

 

◆「国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化の推進に関する基本的な方針(素案)」に対する意見

標記「基本的な方針(素案)」ならびに「国際卓越研究大学法施行規則を定める省令(案)」に示された、国際卓越研究大学の「認定に関する基準」(以下、認定基準)ならびに「国際卓越研究大学研究等体制強化計画の認可に関する基準」(以下、計画認可基準)は、まさしく「稼げる大学」に変貌できるポテンシャルのある大学を選定し、大学を営利事業機関とするための基準となっている。以下の理由から、「基本的な方針(素案)」に反対する。

(1)大学の目的を経済的価値に従属させるものであり、容認できない

本来、大学における研究活動が追求するのは真理の探究による新たな知見の創出であり、それ以外ではない。発見された真理が結果的に新たな産業を生み出し、大きな経済的価値につながることがあり得るとしても、それはあくまでも副次的な結果である。

しかし認定基準は、「研究成果の活用の体制が、経済社会の変化をもたらすインパクトの創出に必要なものとして整備されている」ことを前提としている。教育基本法、学校教育法が規定する大学の目的を大きく逸脱するものである。よって容認できない。

(2)認定基準・計画認可基準は「学問の自由」と「大学の自治」を脅かすものであり、容認できない

真理の探究は、自由な意見発表と批判の応酬の中で、集団的に真理に接近していく営みであり、権力者その他の者に支配されず、学問的誠実さのみに従って行われなければならない。それゆえに、日本国憲法において「学問の自由」を保障することが定められている。この「学問の自由」を組織的に具現化するものが「大学の自治」である。

しかし認定基準・計画認可基準は、学外者を含む「合議制の機関」が大学の設置者を代表する者の選解任や、中長期の経営戦略、その他の大学運営に関する重要事項を議決する権限を有すること、教学担当役員(プロボスト)が教学事項の実質的責任者として権限を発揮することを要求する。また「体制強化計画」の実施状況は、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議と文部科学大臣による評価を受けるものとしている。このような管理運営体制の下では、「学問の自由」と「大学の自治」は容易に脅かされ、自治により学問の自由を擁護するという大学の使命を果たすことはいっそう困難になる。よって容認できない。

(3)経済的価値による学問分野の選別・序列化を招くものであり、容認できない

認定基準は、過去の研究実績として、直近5年間の「上位10%論文の数がおおむね1000本以上、かつ当該大学の総論文数に占める割合がおおむね10%以上」または「上位10%論文数の当該大学に属する教員一人当たり平均数がおおむね0.6以上」であることを要求する。しかし、学問分野により被引用数が大きく異なること、上位10%論文が理工系分野に偏重していることは周知の事実である。

国際卓越研究大学が始動すれば、資金投下を受けた「稼げる学問分野」の論文生産数は向上し、そうでない学問分野との格差が拡大する。金銭的な価値基準による学問分野の選別、序列化、「稼げない学問分野」の衰退が進行し、学術全体の発展が阻害されることは避けられない。よって容認できない。